これまでの研究内容および最近関心

社会福祉学を思想面、臨床面から追究しています。以下のような研究テーマを設定しています。
研究情報公開→詳細

研究テーマ1:福祉哲学・福祉思想史(価値)

キリスト教と社会福祉→キリスト教社会福祉学
スピリチュアリティ
 →対人援助の福祉エートス     ヘンリ・ナウエンの研究
福祉思想史 → ジェーン・アダムズの研究、
山室軍平の研究、ジョージ・ミュラーの研究
福祉哲学と倫理課題→ 
日本生命倫理学会
 公共哲学

研究テーマ2:ソーシャルワーク(マイノリティ、精神保健福祉、虐待)

ナラティヴ・モデル、ソーシャルワークの価値研究、SHG
LGBT、マイノリティ、セクシュアルティ、精神保健福祉領域
児童虐待防止    広島県スイス村

研究テーマ3
臨床死生(自殺予防)

自殺予防研究 (自殺とケア研究会)
自殺予防学会
日本臨床死生学


 ソーシャルワークについて
 ソーシャルワーク(social work)とは、わかりやすく言えば専門的な対人援助実践のことです。心理カウンセリングとの違いで言えば、社会的な文脈、場所という視点を強調する点ですが、特に北米における最近傾向として、境界が非常に不明確になっているのも事実です。この点では、Spect & Courtney(1994)が、「堕落した天使」と痛切に批判した点ですが、臨床ソーシャルワーカーたちが、自分のオフィスを設けて開業するなどして、個人化した「心の悩み」の治療モデルに傾注するあまり、社会的に抑圧された人々を忘却したというのである。

ソーシャルワークは今からおよそ100年前に北米で誕生しました。ニューヨークで、ソーシャルワーカーの養成学校(現在のコロンビア大学のソーシャルワーク大学院)が設立され、「ケースワークの母」「ソーシャルワークの母」と称せられるリッチモンド(Mary Richmond)やアダムズ(Jane Addams)らの蒼々たるメンバーが指導にあたりました。しかし1世紀の間に援助対象、内容、方法も大きく変遷しました。例えば19世紀末においては、年少児童を強制労働させたり、溢れる移民に対して、社会の対応が十分ではなく、貧困問題を中心とした社会的問題を解決することが中心課題でした。これに対して、複雑化した現代社会では、先の課題に加えて、児童虐待、精神障害者、HIV・エイズと人権などの深刻な社会的問題が山積し、ソーシャルワーカーはこれらの問題の第一線で奮闘しています。

このようなソーシャルワーク実践の場に参加して、時には熱く、もう一方で極めてクールに、その根源まで遡って分析をするというのが私の研究手法です。目下、関心あるフィールドは、死生臨床(ターミナル、自殺)、精神障害、エイズ、児童養護・虐待など一般社会にあって「周縁」とされる領域に、当事者自身の「語り」あるいは「物語」(narrative)という手法で接近し、その「声」を聴き、具体的な援助(サービス)を理論的に検討しています。その際、社会がもつ価値観、当事者のもつ価値観、専門職の価値観がありますが、これらの三者の価値観の微妙なズレがあることがわかります。そのズレに着目し、それらのズレを、当事者の語り(物語)と声をベースに捉え直していくというものです。これらの価値観の葛藤やディレンマを、その回避方法を含めて研究しています。ただ、これらを単にプラグマティックな側面からだけでなく、このような現実の福祉実践研究の根源にある思想哲学について、宗教、特にキリスト教との関わりで、福祉実践の歴史的吟味を探求しようとしています。
これらの視座を含めて、カナダのトロント大学で在外研究をしていた研究成果と合わせて、『対人援助の福祉エートス ―ソーシャルワークの原理とスピリチュアリティ―』という著書を、ミネルヴァ書房から公刊しました。ご興味がありましたら御一読下さりご批判ください。
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文献

推薦文献リスト

社会福祉関連情報


日本社会福祉系学会連合(22の社会福祉系の学会の連合です)

日本ソーシャルワーク教育学校連盟(現在理事を務めています)

国際ソーシャルワーク学校連盟

日本社会福祉士会
(私も会員です)

日本社会福祉学会(現在、会長を務めています)

NASW(全米ソーシャルワーカー協会)

日本キリスト教社会福祉学会(現在、会長を務めています)

日本精神保健福祉士会

http://www.utoronto.ca/留学していたトロント大学のHPです。

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